外国人の人から相談を受けたとき、どうしたらいいのかわからない
この記事では、7年以上、700件以上の外国人相談や支援を続けてきた私(Uchiga)が、外国人の方からの相談や対応をする上で、気をつけたいことや、注意したいことについて書いています。
私(Uchiga)は、公務員として9年間働き、現在は国際交流・外国人支援の団体で英語での通訳や翻訳、相談業務を担当しています。
また、日本語教師として日本語を教えたり、キャリアコンサルタントとして就職・転職の相談を受けたり、日本語教室運営などの業務を担当しています。
最近では「外国の方から相談があったとき、どうやって相談に乗ったらいいのかよく分からない」とのご質問をお受けします。
もし、外国人の方から相談を受けたときや話す機会があったときには、この記事の内容がお役に立てば幸いです。
余談ですが、国際恋愛・国際結婚されている方にも、パートナーに対して、今回の内容で使えるノウハウがあるかもしれません!
(私事ですが、私のパートナーはイギリス人です。)
日々の暮らしの中でも、一緒に暮らしているとたくさんの気づきがあり、この記事に書いたことを毎日実践しています。
本記事の後半に「多文化共生」についてのおすすめの書籍をご紹介しています。
加えて、企業の方が「特定技能制度」に関することなら全て相談できる「特定技能の窓口」についてもご紹介しています。
よかったら参考にしてくださいね。
下記の引用は、「多文化共生」の定義です。
多文化共生とは、「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」
1.自分は、良かれと思ってしたことなのに!どうして怒るの?
「自分が相手のために良かれと思ってやったこと」が、相手にとっては望んでいないことで、逆に相手が怒ってしまったり、傷つけてしまったことはありませんか?
私(Uchiga)には、過去にそういった苦い経験がたくさんあります。
けれども今まで失敗したからこそ、今の外国人支援や外国人相談業務に役立っています。
日本人同士でもそうですが、外国の方とは、生活してきた環境や文化によって、人にしてもらったことの受け取り方が異なります。
例えば、「あいづちをうつ」ことがあります。
日本人は「話をきちんと聞いている」というアピールをするために、あいづちをうつことがよくあります。
就職の面接試験などでも、自己アピールのためによく使いませんか?
けれでも、外国人の方の中には、話の合間にあいづちをうたれると、話を妨害されているように感じてしまい、あいづちが相手を苛立たせることがときどきあります。
また、相手のこどもの頭をなでることも、「頭(髪の毛)はとても神聖なもの」と考える国の方には大変失礼なことになってしまいます。
「じゃあ、これはしていいの、やったらダメなの?どうしよう」と困ってしまいますよね。
まずは、何かを相談してきた相手には、自分が行動を起こす前に「これはしていいのですか?それともダメなことなのですか?」と、聞いてみるのが一番です。
もう一つ、相談を受けた時、とても大切なことは、国籍を問わず、自分の個人情報(電話番号や、自宅住所など)をよく知らない相手に気軽に教えてしまわないことです。
さらに、相手に「自分ができること、できないことを明確にして伝えること」も大切です。
相手の精神状態(例えば外からの印象や雰囲気からはわからないけれど、実は相当、精神的に追い詰められていた場合)や、相談の内容が相手の人生に関わる場合、トラブルに巻き込まれる場合もあります。
私(Uchiga)の場合、個人情報までは教えていませんでしたが、職場に、私がひとりになった時だけ相談に来られる方がいました。
男性の相談者でしたが、最終的には女子トイレにまでついてこられ、トイレ前でずっと待たれた苦い経験があります。
その時は職場の携帯を持っていたので、他部署の職員に警備員を呼んでもらい、トイレからようやく出てくることができました…
この体験は極端な例ですが、予期しないことが起こってしまう場合もあるので、注意してくださいね。
2.相談してきた人が一番望んでいることは何かに注目する
「自分は人の役に立ちたい、誰かのために働きたい」と考えて、熱意を持って相談に対応することは大事です。
でも、その熱意(=自分が、どれだけがんばっているか)が、サポートの「目的」になってしまわないように気をつけなければいけません。
相談者の相談内容を解決したりサポートするためには「今、何をすることが一番大切なのか」に注目することが大切です。
例えば、自動車事故にあった留学生がいて、その留学生が日本語で加害者との「保険金の支払い」でもめている場合など、加害者の保険会社へ感情的な怒りの電話をすることなどは需要ではありません!
第三者が事実と確認できる「証拠集めや事実確認」を、警察や目撃者、弁護士や外国人支援団体などと協力して行うことの方が大切です。
3.中途半端に相手の言語がわかっているとき、相手の人生に関わることには対応しない
外国の方に道を聞かれた時は、Googleマップを使ったりして、自分がそれほど相手の言語がわからないときでも助けてあげることはできます。
しかし、「ビザの更新」、「法律に関わること」、「労働に関係する切実な状況(会社をクビになったので会社を訴えられるか)」など人生にかかわる相談については、話は別です。
自分が相談者の言語を中途半端に理解できているときは、相手の状況を十分に理解できていない場合がよくあります。
そんな時は、以下のことが大切です。
- リファー先(他で適切な対応をしてくれるところ)を案内する
- 自分にできること、できないことを相手にはっきり伝える
自分が対応するよりも、適切な対応をしてくれるリファー先を案内したり、場所などの情報提供する方が、相手にとっても自分にとってもよりよい結果につながります。
自分一人で相談の内容を抱え込んでしまわないことも大切です!
「自分が相手にできること、したいことを自分ができる範囲でやっていく」と、継続的に良い関係を築いていけます。
- 生活してきた環境や文化によって、人にしてもらったことの受け取り方が違うことを理解する
- 自分の個人情報(電話番号や、自宅住所など)をよく知らない相手に気軽に教えてしまわない
- 相手の人生に関わる相談には、他のリファー先を紹介する
- 自分にできること、できないことを相手にはっきり伝える
「多文化共生」の考え方についておすすめの本をご紹介します
「多文化共生」にもし興味をお持ちなら、ご紹介したい本があります。
自分か気づかなかった視点で、物事を考えたり、他人と向き合えるきっかけになる書籍です。
よろしかったら、ぜひ、一度手に取ってみてくださいね。
両手にトカレフ
2022年6月に刊行された「ブレイディみかこ」さんの小説です。
西加奈子氏、推薦! 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の著者が14歳の少女の「世界」を描く、心揺さぶる長編小説。
この物語は、かき消されてきた小さな声に力を与えている。 その声に私たちが耳を澄ますことから、全ては始まるのだ。 ――西加奈子氏
◎ブレイディみかこ氏からのメッセージ 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』には出てこないティーンたちがいました。ノンフィクションの形では書けなかったからです。あの子たちを見えない存在にしていいのかというしこりがいつまでも心に残りました。こうしてある少女の物語が生まれたのです。
◎STORY 「ここではない世界」は、 今この場所から始まっていく――。 寒い冬の朝、14歳のミアは、短くなった制服のスカートを穿き、図書館の前に立っていた。そこで出合ったのは、カネコフミコの自伝。フミコは「別の世界」を見ることができる稀有な人だったという。本を夢中で読み進めるうち、ミアは同級生の誰よりもフミコが近くに感じられた。一方、学校では自分の重い現実を誰にも話してはいけないと思っていた。けれど、同級生のウィルにラップのリリックを書いてほしいと頼まれたことで、彼女の「世界」は少しずつ変わり始める――。
◎プロフィール 1965年、福岡県生まれ。1996年から英国ブライトン在住。2017年、『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で新潮ドキュメント賞を受賞。2019年、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で毎日出版文化賞特別賞、Yahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞受賞などを受賞。ほか著書に『女たちのテロル』『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』など多数ある。
出典元 amazon.co.jp
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ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
イギリスで、人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めた著者の息子さんが、人種差別丸出しの移民の子どもや、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー少年との関わりの中で、「いろいろあって当たり前、でも、みんなぼくの大切な友だちだ」と感じられるまでのエピソードが臨場感のある文章で書かれています。
「優等生の息子さん」と「パンクな母ちゃん」(著者)が、ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく「ホロリ」とさせられるリアルストーリーがたくさんつまっています。
私事になりますが、私(uchiga)もイギリスのブライトンとロンドンで12年間過ごしたことがあるので、この本を読むと懐かしくて色々な想いがあふれてきます。
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また、Amazon公式の「Kindle Unlimited」を使うと、多文化共生に関するたくさんの書籍が読み放題です。
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どんな本が読めるのか、良かったら参考までにKindleの本をチェックしてみてくださいね。
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参考までに、このサービスについてご紹介いたします。
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新版 シミュレーション教材「ひょうたん島問題」——多文化共生社会ニッポンの学習課題
架空の島を舞台に「多文化共生社会」の課題をシミュレーションを通して考える教材の改訂版です。
時代状況を踏まえて、実践編な新章が設けられています。
学校で利用される先生も多いです。
YouTubeで視聴できる動画やダウンロード可能なスライド用画像が用意されているので、多文化共生社会」のオンライン授業にも対応できます。
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外国につながる子どもの日本語教育
外国にルーツを持ち、日本語を第二言語とする子どもたちの「言語」の課題に正面から向き合い、考えるための9章からなるトピックを収録。
小学校での実践、日本語力の評価、日本語教材、継承語の育成など、それぞれ第一線の専門家がやさしく解説しています!
■「はじめに」より
本書は、日本語教育を学ぶ学生や教員免許取得を目指す学生にとって、「子どもの日本語教育」について知るための初めの一歩になればと思って企画しました。また、すでに教職についている学校の教員や、地域社会でJSLの子どもたちを支える支援者にとっても、本書が日頃の指導や支援を見直すきっかけとなればと考えています。
■目次
第1章 公立小学校での「子どもの日本語教育」を知る
第2章 日本社会の中の「子どもの日本語教育」を知る
第3章 子どもの日本語力を評価する
第4章 子どものための日本語教材を使う・作る
第5章 教科学習と日本語学習をつなぐ
第6章 教科学習に必要な言語力について考える
第7章 子どもの第二言語習得について知る
第8章 日本語という言語を外から見る
第9章 母語・継承語も育てる
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〈やさしい日本語〉と多文化共生
外国人への情報伝達の方法のためにスタートした〈やさしい日本語〉。
「やさしい日本語」とは、普通の日本語よりも簡単で、外国人にもわかりやすい日本語のことです。
1995年1月の阪神・淡路大震災では、日本人だけでなく日本にいた多くの外国人も被害を受けました。その中には、日本語も英語も十分に理解できず、必要な情報を受け取ることができない外国人もいました。
そこで、そうした人達が災害発生時に適切な行動をとれるように考え出されたのが「やさしい日本語」の始まりです。
「やさしい日本語」は、災害時だけではなく、日常でも外国人への情報提供手段としても研究され、行政情報や生活情報、毎日のニュース発信など、全国的に様々な分野で取組が広がっています。
この広がりを受けて、〈やさしい日本語〉に関するさまざまな議論も起こっています。
外国人の受け入れ拡大に舵(かじ)を切った日本において、多文化共生社会の成立をめざすための重要なツールとなりうる〈やさしい日本語〉の最前線がこの本でわかります!
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以上、外国の方が困っているとき、外国人の方と話す機会があったときに、役立ちそうなノウハウを活用していただけるととても嬉しいです。