政府や行政からの支援金について、外国人の方にどう説明するか
この記事では、英語での通訳業務や相談業務において、より相談者のニーズに合った対応ができるように、対応時に気をつけていることについて書いています。
現在、私(uchiga)は、国際交流や外国人支援の団体で働いています。
私のお仕事のひとつに、外国につながりのある相談者への相談業務があります。
電話、メール、対人で相談を受け付けています。
およそ500人以上の相談者に対応してきました。
2020年春に一番多かった相談が”特別定額給付金“に関する相談でした。
行政からの振り込みが完了する地域が多くあった中、驚かれるかもしれませんが、私が支援を担当していた地域では、申請書さえ手元に届いていない方々が沢山いらっしゃいました。
当時、この「10万円の給付金=特別定額給付金(新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関連)」について、英語での相談を受け付けていました。
英語での相談者には、以下の方々がいらっしゃいます。
- 英語が母語の方々
- 世界の共通語として英語で相談される方
- 自分の意思で、自分の母語ではなく英語で話したい方(香港の方など)
- 英語なら、日本語よりも自分の話したいことをもっと伝えられるという方
相談を受けて、一番気をつけていること
英語での相談業務を担当して5年以上になりますが、以下のことに特に気をつけています。
相談業務で気をつけていること
- 相手の使っている言葉を使って会話をする
- 相手が一番相談したいことを聞き出す
- 相手の会話スピードに合わせる
1. 相手の使っている言葉を使って会話をする
相談者が、何が言いたいのかわからない時は、「こういう話を今しましたね」、「これは、こういう意味ですか?」、と確認のために、復唱して相手に伝えます。
特別定額給付金の話をする時、それぞれの自治体が、「特別定額給付金」という言葉をそれぞれの自治体なりに英語翻訳をされているので、相手が定額給付金のことを話し始めると、英語での表現がバラバラでした。
一番手っ取り早いのは、「xxxxxxx(←相手が言った特別定額給付金のことだと思われる単語)do you mean, じゅうまんえん、benefit?」と、相手の言葉を復唱して、こちらから意図する内容かなという言葉を話しかけると、「Yes! yes, I want to talk about it!」となり、このあとは話が早かったです。
例えば、「印鑑」のことでも、「stamp」、「seal」、そのまま日本語で「いんかん」というように、相手が話している言葉を使って話すようにします。どんな言葉、単語を使用するかで、相手の英語力もだんだん分かってきます。
あとは、自分が相手と話している内容について、いまいちよくわからない時は、「こういう話をしましたね、これは、こういう意味ですか?」 と確認のために繰り返します。
相談を受ける側として、不確かな情報を提供したくないですし、相談内容によっては支援機関も異なります。
リファー先を紹介することもあるので、注意深く聞き取るようにしています。
2. 相手が一番相談したいことを聞き出す
電話相談では、最初から大声で怒鳴り散らしてくる相談者もいます。
相談者自身の頭の中が整理されていないので、いろんなことが頭の中で起こっていて、困っている状況です。
日本に住んでいて、相手に日本語を使って自分の言いたいことをうまく伝えられないので、イライラが重なってしまって、とうとう爆発してしまったケースです。
意思疎通がうまくできず、自分でも状況を伝えられない怒り、イライラ、悲しさから、相談先でも怒鳴ってしまうので、余計に相談先で煙たがられ、必要な情報や支援がもらえないこともあります。
そういう相談者は、電話をかけてきても、最初は「困っている」と、ただただ、怒鳴りながら繰り返されます。
そんな時は、「私が、個人的に相談者に怒鳴られているのではない」とまずは意識します。
そうでないと、私自身もイライラしてきたり、変に傷ついてしまったり、自分の気分が揺さぶられることがあるからです。
「今、解決しておかないと、もっと悪い状況になることは何か」、とか「何について、一番困っていますか」、「何についてまず、一番話したいですか」とフラットな声で聞き出すようにしています。
そんな中で、「そうなんですね」「じゃあ、xxしてみましょうか」と会話を続けていきます。
そうすることで、相談者の気持ちもだんだん落ち着いてきて、「どなってごめんなさい、失礼なことをした」、「とりあえず、まずは私はxx(支援機関)に行った方がいいんですね。わかりました。ありがとう!」と、答えてくれるようになります。
相談したい内容が明確になるとともに、相談者の声のトーンも変わってくるので、私も適切な対応ができますし、自分自身の気分も落ち着きます。
3. 相手の会話スピードに合わせる
会話のスピードは、必ず相手に合わせます。
忙しい中、わざわざ時間を作って相談の電話をしてくる相談者の会話には、スピード感があるので自分も早口で簡潔に話します。
ゆっくり話を丁寧に聞いてもらいたい相談者には、限られた時間の中で、丁寧にゆっくり話すようにしています。
話は少しそれますが、プライベートでは、自分がカスタマーサービスに電話をかけるときには、自分自身が簡潔に話す方が好きなので、はじめに「早口で結論から話していただけますか」、とお願いしておきます。
カスタマーサービスの担当者さんの中には、非常に丁寧に、マニュアル通りに話される方がいらっしゃいますが、時間がかかりすぎるように感じます。
こちらに困ったことがあって、その解決のために電話をしている場合もあるので、ケースバイケースで、相手に合わせて話してくれたらいいのにな、と感じます。
私の場合は、結論を簡潔に話してもらえれば大満足です。
今回ご紹介した「相談を受けて、一番気をつけていること」は、外国からの相談者だけではなく、日本の方々との会話でも気をつけていることです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
ご質問などありましたら、お気軽にご連絡くださいね。